【こんな症例も治りますシリーズ 883】『 猫ちゃんの消化器型リンパ腫(大顆粒リンパ球性リンパ腫) 』も適切な診断と治療でコントロールします

↑ 上の写真は、猫の消化器型リンパ腫のイメージイラストです。
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◆ 上は『腸の超音波画像』、右は『壁が厚くなった腸』、右下の丸の中は『腸の壁の中でがん細胞が増えている様子』を表しています。

 

猫  ミックス 9歳 メス(避妊手術済)

 

 

【 約1か月前から食欲が落ち、体重も減ってきた 】とのことで来院されました。

 

 

■■ 今回は、食欲不振と体重減少をきっかけに、消化器型リンパ腫(お腹の腸にできる血液のがん)が見つかった猫ちゃんをご紹介します。

 

 

 

 

◆◆ 来院時の様子

■ 約1か月前から食欲が落ち、体重も4.7kgから4.4kgに減っていました(約6%の減少です。 人に例えると、60kgの人が1か月で約4kgやせたのと同じくらいです)。

 

■ 腹部超音波検査(お腹のエコー検査)では、小腸の壁が厚くなり、正常な腸の壁にみられる層の構造(何枚もの膜が重なったしくみ)が失われている様子が確認されました。また、腸の近くにあるリンパ節も大きく腫れていました。

 

■ これらの所見から消化器型リンパ腫を疑い、腫れたリンパ節に細い針を刺して細胞を取る「細胞診」を行いました。

 

 

 

 

◆◆ リンパ腫とは?

■ リンパ腫は、免疫(体を守るしくみ)に関わる「リンパ球」という細胞が、腫瘍(がん)になる病気です。

 

■ 猫では比較的よくみられる悪性腫瘍の一つで、消化管(胃や腸)、リンパ節、腎臓、鼻の中など、さまざまな場所に発生します。

 

■ 特に消化管に発生するものを「消化器型リンパ腫」と呼び、食欲不振、体重減少、嘔吐、下痢などの症状がみられることがあります。

 

■ また、リンパ腫にはさまざまな種類があり、その種類によって進行の速さや治療への反応、予後(これからの見通し)が大きく異なります。

 

 

 

 

◆◆ 検査結果と診断

■■ 細胞診の結果、大顆粒リンパ球性リンパ腫(LGLリンパ腫)と診断されました。

■ LGLリンパ腫は、細胞の中に特徴的なツブツブ(顆粒)を持つリンパ球ががんになったもので、猫では消化管に発生することがあります。

 

■ 一般的に進行が速く、抗がん剤が効きにくい場合も多いため、予後が厳しいリンパ腫の一つとされています。

 

 

 

 

 

◆◆ 抗がん剤治療の目的

■ リンパ腫の治療には、主に抗がん剤が使われます。

■ 抗がん剤と聞くと、副作用が強く、つらい治療をイメージされる方も多いかもしれません。

■■ しかし、動物の抗がん剤治療では、単に病気を抑えるだけでなく、できるだけ普段どおりの生活を送りながら、元気に過ごせる時間を延ばすことを大切にしています。

■ リンパ腫の抗がん剤治療は、必ずしも完治を目指すものではありません。腫瘍を小さくしたり、病気の進行を抑えたりすることで、症状を和らげ、生存期間の延長とQOL(生活の質)の維持・改善を目指します。

■ もちろん、副作用が起こる可能性もあるため、動物の体調や検査結果を確認しながら、治療を進めていきます。

 

 

 

◆◆ 治療とその後の経過

■ 今回の猫ちゃんには、抗がん剤の一種であるL-アスパラギナーゼ(ロイナーゼ)を投与しました。

■■ 治療後の超音波検査では腫瘍がやや小さくなり、体調にも改善がみられました。

■ LGLリンパ腫は治療が難しい病気ですが、今回の猫ちゃんでは、抗がん剤による一定の効果が認められています。

■ 現在も体調や腫瘍の状態を慎重に確認しながら、今後の治療について検討しています。

 

 

 

 

◆◆ 最後に

■ 猫のリンパ腫は、種類や発生する場所によって症状が異なり、初期には病気に気づきにくいこともあります。

■ 食欲不振や体重減少、嘔吐、下痢などが続く場合には、詳しい検査が必要になることがあります。

■ また、リンパ腫と診断された場合でも、治療によって症状が改善し、穏やかに過ごせる時間を延ばせる可能性があります。

■ 動物の抗がん剤治療では、病気そのものだけでなく、その子の生活の質を大切にすることが重要です。 ★★★ 当院には、抗がん剤治療に耐えられない時、あるいは副作用が多く出てしまった時に事前に使える『 素晴らしい代替療法 』を複数種類用意してあります。 ぜひ、ご相談ください。

■ これからも猫ちゃんが少しでも元気に、飼い主様と穏やかな時間を過ごせるよう、サポートしていきたいと思います。

 

 

 

 

◆◆ 本来は、猫ちゃんの『食欲が落ちた』『体重が減った』という小さな変化に気づいた時点で、早めにお腹の超音波検査を受けることが大切です。

■ 猫は具合の悪さを隠すのが上手な動物です。食欲の低下や体重の減少は、病気がかなり進んでから目に見えてくることも少なくありません。

■ 特にLGLリンパ腫のように進行が速いタイプでは、見つかる時期が早いほど、体力が残っているうちに治療を始めることができます。

★ 今回の猫ちゃんは、超音波検査で腸とリンパ節の異常を見つけ、細胞診ですぐに診断をつけて治療を始められたことが、体調の改善につながった大きな理由です。

★★ がんの治療は『治すか、あきらめるか』ではなく、『その子らしく元気に過ごせる時間を、できるだけ長く守る』ことが目的です。当院では、抗がん剤に加えて、体力や免疫を支える治療を組み合わせることも、ご家族と一緒に考えていきます。

 

 

◆◆ 『 食欲が落ちる・体重が減る ⇒ すぐに超音波検査 ⇒ \早期治療で元気な時間をのばす/ 』が世界では常識です。

 

 

 

 

 

獣医師 伊藤雅志

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